賃貸管理の年収相場|業態別・職種別・経験年数別に徹底解説【2026年最新】

賃貸管理業界概略
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「賃貸管理の仕事って、結局のところ年収どれくらい稼げるの?」

転職を考えるとき、誰もが一番気になるのがここですよね。求人サイトを見ても「年収300万円〜800万円」みたいなぼんやりした表記ばかりで、実際のところがよくわからない。

正直に書きます。賃貸管理の年収は、業態・職種・経験年数で大きく変わります。同じ「賃貸管理営業」でも、ハウスメーカー系大手の30歳と地場独立系の30歳では、年収が200万円違うこともあります。

この記事では、各種データソースを集計して、業態別・職種別・経験年数別に賃貸管理職のリアルな年収相場を整理しました。求人サイトのモデル年収だけじゃなく、有価証券報告書、国の統計、口コミサイトの集計まで突き合わせて、できるだけ実態に近い数字を出しています。

これから転職活動を始める人は、自分の希望条件と相場を比べる「物差し」として使ってください。


賃貸管理職の年収レンジ全体像

まず大枠の数字から押さえます。

賃貸管理職の年収レンジは、業界全体でざっくりと300万円〜1,200万円程度に分布しています。中央値はおおむね450万〜500万円くらい。

参考までに、関連する全体データを並べると以下の通り。

  • 国税庁「民間給与実態統計調査」による日本の給与所得者の平均年収は約460万円
  • 不動産業界全体の平均年収は約457万円(求人ボックス集計)
  • 賃貸営業職の平均年収は約390万円(Indeed調査ベース)
  • 不動産業界の上位デベ(ヒューリック、三井不動産など)の平均年収は1,200万円超

賃貸管理職は、不動産業界の中では**「中位ゾーン」**に位置するイメージです。デベや外資系PMほどは稼げないけれど、賃貸仲介よりは安定的、という立ち位置。

ここからもっと細かく見ていきます。


業態別の年収相場|どこに行くかで200万円変わる

これは記事「賃貸管理会社4タイプ完全比較」と密接に関わるところ。業態別の年収相場をデータベースで整理します。

タイプ1:ハウスメーカー系サブリース型

年収レンジの目安:

  • 未経験スタート(20代):350〜450万円
  • 中堅(30代、4-7年目):500〜750万円
  • 管理職(40代、支店長クラス):800〜1,100万円
  • 本部・経営層(50代以上):1,000〜1,500万円

具体例:大東建託グループ

業界最大手の大東建託(親会社=土地活用営業)は、有価証券報告書ベースで平均年収837万円(2025年4月時点)、平均年齢44.6歳という数字が公開されています。これは業界トップクラスの水準です。

子会社の大東建託パートナーズ(賃貸管理側)の場合、求人情報を見ると、入社時月給は18万円〜+業績加算給+賞与4ヶ月分というのが基本給の構造。入社2年目で月収27.5万円程度、年収換算で400万円台前半というのが目安です。経験を積んで主任クラスになると500〜600万円、課長クラスで700〜800万円のレンジに入ってきます。

職種別では、本体の建築営業職は700〜1,000万円超を狙えますが、子会社の管理スタッフ職は400〜600万円が中心ゾーン。「大東建託」と「大東建託パートナーズ」で年収は変わるので、応募する会社を間違えないように。

特徴:基本給がしっかりしているため、安定感がある一方、爆発的に稼ぐのは難しい。インセンティブの比重は小さく、長く勤めて昇進していくスタイル。

タイプ2:不動産仲介系・FC型

年収レンジの目安:

  • 未経験スタート:300〜400万円
  • 中堅(店舗中堅):450〜650万円
  • 店長クラス:600〜900万円
  • エリアマネージャー以上:800〜1,200万円

このタイプの最大の特徴は、歩合給の比重が大きいこと。基本給は控えめでも、繁忙期(1〜3月)の業績次第で年収が一気に跳ねるケースがあります。

賃貸仲介・賃貸管理を兼ねる職種だと、平均年収300〜500万円というのが各種調査の数字。ただしトップセールスクラスになると、エイブルの元社員のYouTuber・棚田氏のようにトップに立てば桁違いに稼ぐ人もいます(ただしこれはレアケース)。

注意点:FC(フランチャイズ)加盟店は、本部の給与水準と無関係です。同じ「○○ショップ△△店」の看板でも、運営会社によって待遇が180度違うので、応募時には運営会社の社名を確認することが必須。

タイプ3:独立系専業管理会社

年収レンジの目安:

  • 未経験スタート:280〜380万円
  • 中堅:400〜600万円
  • 管理職:600〜850万円
  • 役員・経営層:800〜1,500万円(企業規模次第)

このタイプは、会社規模による差が極端に大きいのが特徴です。

例えば、福岡の地場最大手・三好不動産の口コミサイト集計値は平均年収438万円(28人の正社員回答ベース、年収範囲270〜590万円)。地域大手クラスでこのレンジ感です。

一方、首都圏の有力独立系や、全国展開している中規模独立系では、ハウスメーカー系に並ぶ水準を出すケースもあります。要は、「独立系=年収低め」と単純化できないということ。

特徴:歩合給は少なく、勤続年数による緩やかな昇給がベース。長期安定型のキャリアになりやすい。

タイプ4:新興・テック系

年収レンジの目安:

  • 未経験〜若手:400〜600万円
  • 中堅:550〜800万円
  • マネージャー:700〜1,000万円
  • 上場ベンチャーの幹部:1,000〜1,500万円+ストックオプション

このタイプの面白いところは、ストックオプション(SO)の存在です。基本年収は他業態と大差ないか、やや高め程度ですが、上場時や企業価値の上昇でSOによる大きな上振れが期待できます。

ただし、上場前のスタートアップだとSOが紙くずになるリスクもあるし、上場済み企業でも株価次第。ハイリスク・ハイリターン型と捉えるべきです。

特徴:成長フェーズの企業ほど業務量は多いが、若手から大きな裁量と高めの年収を得られる。


職種別の年収相場|配属先で200万円変わる

業態だけでなく、社内の配属先(職種)によっても年収は大きく変わります。

オーナー対応営業(賃貸管理営業)

賃貸管理職の「花形」職種。年収レンジは:

  • 20代:350〜500万円
  • 30代:500〜750万円
  • 40代以上:700〜1,000万円

オーナーとの契約継続率や、預かり戸数の増加が評価指標になります。中堅クラスの優秀なオーナー営業だと、課長級でなくとも年収700万円台に届くケースが多い。

入居者対応・カスタマーサクセス

クレーム対応、トラブル処理が中心となる職種。

  • 20代:300〜420万円
  • 30代:400〜550万円
  • 40代以上:500〜700万円

オーナー営業と比べてやや低めなのが現実。最近はコールセンターを外注化する大手が増えていて、社内の入居者対応担当は管理戸数あたりの担当人数が減っている傾向です。

リーシング(募集・客付け)担当

仲介業務と一体になることが多い職種。歩合給の影響が大きいため、レンジが広い。

  • 20代:300〜500万円
  • 30代:400〜700万円
  • トップセールスクラス:800〜1,500万円

繁忙期(1〜3月)に契約を集中的に取れる人は、月収100万円超えも珍しくない。逆に成績が出ない人は基本給だけになる。実力主義の色が強い職種です。

バックオフィス(契約事務・経理)

正確性が求められる事務系職種。

  • 20代:280〜380万円
  • 30代:380〜500万円
  • 40代以上:450〜650万円

年収は控えめですが、ワークライフバランスは良好なケースが多い。残業も少なめで、長く勤められる職種です。

リプレイス営業(知る人ぞ知る高年収職)

他社管理物件を自社管理に切り替える「攻めの営業」。

  • 20代後半〜30代:600〜1,000万円
  • ベテラン:1,000〜1,800万円

この職種だけは別格です。新規開拓のキレが直接給与に反映されるため、優秀な人だと賃貸管理業界で唯一年収1,500万円超を狙える職種と言ってもいい。ただし精神的にハードで、向き不向きが極端。

設備・修繕担当、DX担当

最近ニーズが伸びている職種。

  • 20代:350〜500万円
  • 30代:500〜750万円
  • 専門職レベル:700〜1,000万円

特にDX・業務改善担当は、IT系出身者がスキルを活かせるポジション。テック系企業からの引き抜きもあるため、市場価値が上昇中です。


経験年数別の年収カーブ

業態と職種を横断して、経験年数による年収カーブを見ていきます。これは賃貸管理職全体の平均値的な見方なので、自分の業態・職種で多少上下することを前提に。

1〜3年目:基礎習得期

年収レンジ:300〜450万円

新卒・第二新卒・他業界からの転職組が混在する時期。基本給+残業代が中心で、ボーナスは1〜3ヶ月分というのが標準的。

このフェーズで重要なのは、年収より**「業務の型」を身につけること**。資格(宅建、賃貸不動産経営管理士)を取って、次のフェーズに備える時期です。

4〜7年目:中堅戦力期

年収レンジ:450〜650万円

業務を一通りこなせるようになり、後輩指導を任され始める時期。主任クラスへの昇進があると、ここで一段階給与が上がります。

このフェーズで業態間の転職を考える人が多い。「ハウスメーカー系→独立系」「仲介系→ハウスメーカー系」のような動きが活発化する時期です。

8〜15年目:管理職期

年収レンジ:600〜1,000万円

支店長、課長、マネージャークラスへの昇進があり、賃貸管理職の年収カーブがピークに近づく時期。会社規模が大きいほど、ここでの年収アップ幅が大きい。

リプレイス営業に転身したり、PM/AMにキャリアアップする人が出てくるのもこの時期です。

15年以上:本部・経営層期

年収レンジ:800〜1,500万円(企業規模次第)

本部の管理職、エリアマネージャー、経営層に近いポジション。企業規模と業績次第で年収レンジが大きく変動します。中規模企業の取締役クラスなら1,500万円も視野に入る。


地域別・規模別の年収差|首都圏と地方では100万円違う

ここまで業態・職種・経験年数で見てきましたが、もう一つ見落とせない要素が勤務地と企業規模です。

首都圏 vs 地方の年収差

賃貸管理職の年収は、勤務地によって100万円程度の差が生まれることがあります。

首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉):

  • 物件単価が高く、管理料も高水準
  • 都市部手当・住宅手当が手厚い
  • 同じ業態・経験年数なら、地方より平均100〜150万円高い

関西圏・中京圏(大阪・京都・愛知):

  • 首都圏よりやや低めだが、地方よりは高い
  • 平均的に首都圏比でマイナス50〜80万円のレンジ

地方(地場有力企業):

  • 物件単価が低い分、管理料収入も低め
  • 一方、生活コストが安いので可処分所得ベースでは大差ない場合も
  • 平均的に首都圏比でマイナス100〜150万円

ただし、地方の地場大手の中には、地元では「いい会社」として知られているところも多く、「地方で年収500万円」は首都圏で言う「年収650万円」に相当するくらいの生活水準になることもあります。額面年収だけで判断しないほうがいいです。

企業規模別の年収差

企業規模(管理戸数)によっても年収は明確に変わります。

管理戸数規模 年収相場の中央値 代表的な層
50万戸超(超大手) 600〜700万円 大東建託パートナーズ、積水ハウス不動産、大和リビング
10万戸超(大手) 500〜600万円 ハウスメイトグループ、レオパレス21、東建コーポレーション
1〜10万戸(中堅) 450〜550万円 三好不動産、長栄、地域有力企業
1万戸以下(中小) 380〜480万円 地場の中小独立系

これは中央値なので、上下に幅があります。中堅でも経営者層は800万超ですし、超大手の若手は400万円台です。


福利厚生の業態差|年収以外で生活が変わる項目

年収だけでなく、福利厚生も含めた「実質的な処遇」を見るべきです。賃貸管理業界の業態別に、注目すべき福利厚生を整理します。

住宅手当・社宅制度

ハウスメーカー系大手の福利厚生が手厚い項目の代表格。自社管理物件に社員割引で住める制度を持つ会社が多く、家賃3〜5割引というケースもあります。

例えば、月額家賃15万円のマンションに社員割引で月額10万円で住めるなら、実質的な年収アップは60万円。これは見逃せない差です。

仲介系・独立系では、住宅手当が月1〜2万円程度に留まる会社が多い。テック系ベンチャーでは住宅手当そのものがないことも。

退職金制度

退職金は中長期で見ると、年収より大きい金額になる可能性がある項目。

  • ハウスメーカー系大手:勤続30年で1,500〜3,000万円
  • 仲介系大手:勤続30年で1,000〜2,000万円
  • 独立系中堅:勤続30年で500〜1,500万円
  • テック系ベンチャー:制度なしのケースが多い

ただし、最近は退職金制度を見直す企業も増えていて、確定拠出年金(DC)に切り替える流れも。この場合、自分の運用次第になります。

育休・産休・時短勤務制度

賃貸管理業界は伝統的に男性中心の業界でしたが、最近は女性活躍を進める会社が増えています。特に大手は法定以上の育休制度や時短勤務制度を整えていることが多い。

ライフイベントを控えている人は、ここも年収と同等の重要度で確認すべきです。

教育・資格取得支援

意外と効くのがこれ。

  • 宅建受験料・テキスト代補助
  • 賃貸不動産経営管理士の受験料・講習費補助
  • 合格時の祝金(5万〜30万円)
  • 外部研修参加の補助

教育投資が手厚い会社で5年間働くと、自費なら100万円以上かかる資格取得が会社負担で済むことも。長期的には年収以上の差になります。


キャリアパス別・10年後の年収シミュレーション

最後に、賃貸管理職に就いた場合の10年後の年収を、キャリアパス別にシミュレーションしてみます。新卒・第二新卒で入社した人をモデルにした目安です。

パターンA:大手サブリース系で堅実にキャリアアップ

  • 入社時(22歳):年収380万円
  • 5年目(27歳):年収520万円(主任)
  • 10年目(32歳):年収700万円(課長補佐)
  • 20年目(42歳):年収900万円(支店長)

特徴:着実に伸びるが、急上昇はない。安定型。

パターンB:仲介系で営業力を磨いてトップセールスへ

  • 入社時(22歳):年収320万円
  • 5年目(27歳):年収550万円(歩合次第)
  • 10年目(32歳):年収750万円(店長)
  • 上振れた場合:1,000万円超も可能

特徴:成績次第で上振れが大きい。下振れリスクもあり。

パターンC:独立系で長く深く専門性を築く

  • 入社時(22歳):年収300万円
  • 5年目(27歳):年収430万円
  • 10年目(32歳):年収580万円
  • 20年目(42歳):年収750万円
  • 独立した場合:成功すれば青天井

特徴:緩やかな上昇。独立すれば大きなチャンスもあり。

パターンD:賃貸管理→PM→AMへのキャリアアップ

  • 入社時(22歳):年収380万円(賃貸管理大手)
  • 5年目(27歳):年収550万円(管理経験を積む)
  • 7年目(29歳):年収750万円(オフィスPMに転職)
  • 10年目(32歳):年収1,000万円(PM中堅)
  • 15年目(37歳):年収1,800万円(AMに転職)

特徴:最も大きい上昇カーブ。ただし難易度も高い。

パターンE:賃貸管理→テック系への転身

  • 入社時(22歳):年収380万円(賃貸管理大手)
  • 5年目(27歳):年収530万円
  • 6年目(28歳):年収650万円(テック系に転職、SO付与)
  • 10年目(32歳):年収800万円+SO行使益
  • 上場時:大きなアップサイドの可能性

特徴:中堅で業界知識を持ってテック系に行く戦略。テック系の上場成功でリターン拡大。


年収を上げる5つの現実的な方法

賃貸管理職で年収を上げたい人に向けて、効果が大きい順に5つの方法を紹介します。

方法1:資格取得による手当・昇格

最も再現性が高く、効果も大きいのがこれ。

宅地建物取引士の資格手当は、月1万〜3万円(年12〜36万円)が一般的。賃貸不動産経営管理士は月3,000円〜1万円(年3.6〜12万円)が相場です。両方持っていれば、それだけで年間20〜50万円のベースアップになります。

しかも資格は昇格・昇給の前提条件にもなることが多い。例えば「業務管理者になるには宅建+指定講習 or 賃貸不動産経営管理士」という法的要件があるので、これがないと管理職への道が開けない会社もあります。

方法2:業態間の転職

業態を変えるだけで、年収100〜200万円アップというパターンがあります。

特に効果が大きいのが、**「独立系で経験を積んでから、ハウスメーカー系大手に転職」**というルート。地場で実務を覚えた即戦力を、大手は欲しがります。逆方向(大手→独立系)は年収ダウンになることが多いので注意。

方法3:管理戸数の多い企業への転職

管理戸数が多い企業ほど、社員1人あたりの売上が大きく、給与水準も高めです。

具体的な数字感で言うと、管理戸数1万戸超の中堅以上で年収500万円台、10万戸超の大手で600万円台、50万戸超のトップクラスで700万円超、というのが目安。転職先を選ぶときは「管理戸数」を必ずチェックすべきです。

方法4:リプレイス営業への転身

社内異動でリプレイス営業に移れるなら、年収アップの即効性は最大。基本給は変わらなくても、インセンティブで200〜500万円積み増しできるケースがあります。

ただし精神的負担も大きいので、誰にでも勧められるわけではないです。

方法5:PM・AMへのキャリアアップ

中長期的な戦略としてはこれが最も大きい。

賃貸管理(住宅レジデンシャル)から、オフィスPM(三井不動産ビルマネジメント、三菱地所プロパティマネジメントなど)、さらに不動産AM(私募ファンド、REIT運用会社)へと階段を上ると、年収レンジが1,000万円→1,500万円→3,000万円と段階的に跳ね上がります。

ハードルは高いが、賃貸管理経験を出口戦略に活かす最大のルートです。


賃貸管理業界の年収トレンド|今後上がるか下がるか

転職先を選ぶうえで、「その業界の年収トレンド」も気になりますよね。賃貸管理業界の年収トレンドを、データと業界状況からフラットに分析します。

全体トレンド:緩やかな上昇傾向

賃貸管理業界の年収は、ここ5年でゆるやかに上昇しています。理由は3つ。

理由1:慢性的な人手不足 業界全体が人手不足で、特に若手の確保競争が激化しています。優秀な若手の採用には、年収の上積みが必要というのが各社の実感。求人サイトの賃貸管理職の年収条件も、過去5年で平均1〜2割程度上がっています。

理由2:業務管理者の必要性増加 賃貸住宅管理業法の施行で、業務管理者の配置が義務化されました。有資格者は社内でも貴重な人材になり、資格手当や役職手当が増額される傾向。

理由3:業界の専門性向上 管理業務の高度化、法令対応の複雑化により、単なる「事務処理」では済まなくなっています。専門人材としての評価が高まり、年収にも反映されています。

業態別トレンドの違い

業態によって年収トレンドは異なります。

ハウスメーカー系大手:横ばい〜微増。基本給ベースは安定的に上昇するが、急成長は望みにくい。

仲介系:DX対応の進捗で二極化。先進的な企業は年収アップ、旧態依然の企業は厳しい。

独立系:中堅以上は微増、中小は横ばい。M&Aで吸収される企業も増えている。

テック系:成長期待が高く、年収レンジが上昇中。ただし企業によるばらつきが大きい。

5年後・10年後を見据えるなら

中長期で年収を伸ばしたい人へのアドバイスとしては、以下の業態・職種の市場価値が伸びると見ています。

  • DX・業務改善担当:賃貸管理業界全体のIT投資が拡大中。IT×不動産のかけ算人材は価値が上がる
  • オフィスPM・AM領域:賃貸管理から派生するハイクラス領域として、引き続き高年収を維持
  • 業務管理者(賃貸不動産経営管理士有資格者):法規制強化で需要が安定的に伸びる
  • リプレイス営業:管理戸数の取り合いが激化する中で、価値が上がるポジション

逆に、市場価値が伸びにくいと見ているのは:

  • 単純な事務作業中心のバックオフィス(自動化で代替されやすい)
  • 既存業務をひたすらこなすだけのオーナー営業(差別化できない)

要は、「機械にできない付加価値」を持っている人材ほど、年収が伸びる時代ということです。


年収交渉で見落としがちな5つのポイント

最後に、転職時の年収交渉で多くの人が見落としているポイントを共有します。これを知っているかどうかで、転職後の満足度が変わります。

ポイント1:固定残業代の有無を必ず確認する

求人票の「年収400万円」が、実は固定残業代込みだった、というケースが頻発しています。固定残業代40時間込みの400万円と、残業代別途の400万円では、実質的に100万円近く違うことも。

「みなし残業○時間込み」という表記には要注意。基本給と固定残業代の内訳を必ず確認してください。

ポイント2:インセンティブ制度の詳細

「月1〜10万円」のような幅のあるインセンティブ表記は、実態を確認しないと意味がない。

具体的に確認すべきは:

  • 平均的な社員のインセンティブ実績
  • インセンティブが発生する条件(売上ノルマ、成約件数、契約更新率など)
  • 過去3年間のインセンティブの推移

ポイント3:管理戸数あたりの担当人数

これは年収より労働環境の指標ですが、間接的に年収にも影響します。管理戸数1,000戸を3人で回す会社と、10人で回す会社では、業務密度が3倍以上違う

業務密度が高いとサービス残業が増えやすく、結果的に時給ベースで見ると年収が下がる構造になります。

ポイント4:評価制度の透明性

昇給・昇格の評価基準が不明確な会社は、長期的に年収が伸びにくい。

面接時に「過去3年間の評価でどれくらい年収が伸びた事例がありますか」と直接聞いていい質問です。評価制度の透明性が高い会社ほど、長期的な年収アップが期待できる

ポイント5:資格取得補助の内容

資格手当だけでなく、取得時の受験料補助、テキスト代補助、合格祝金の有無もチェック。意外と差が出る項目で、長期で見ると数十万円の違いになります。


まとめ|相場を知ってから動こう

賃貸管理職の年収相場、長くなりましたが整理するとこうです。

  • 全体レンジは300万円〜1,200万円、中央値は450万〜500万円
  • 業態選びで年収200万円変わる(ハウスメーカー系大手>独立系大手>仲介系>独立系中堅>テック系は会社による)
  • 職種選びで200万円変わる(リプレイス>オーナー営業>リーシング>入居者対応>バックオフィス)
  • 経験年数による年収カーブは、新人300万→中堅550万→管理職800万→経営層1,000万超
  • 年収を上げる現実的方法は、資格取得・業態転職・管理戸数大手への移動・リプレイスへの異動・PM/AMへのキャリアアップ

最後にひとつ。

「自分の年収が業界相場より高いか低いか」を知らないと、転職で損をします。今の職場で「俺の給料、こんなもんかな」と思っている人も、相場と比べると低い可能性があるし、逆に転職先で提示された額が思ったより低いと感じても、実は業界平均より高いかもしれません。

この記事のデータを物差しにして、自分の市場価値を客観的に把握してください。それが転職成功の第一歩です。


次に読むべき関連記事

  • 「賃貸管理会社4タイプ完全比較|サブリース系・仲介系・独立系・テック系」
  • 「賃貸管理特化型の転職エージェント比較|不動産専門エージェントの選び方」
  • 「賃貸管理から不動産仲介・売買への転身|キャリアアップの道筋と年収」
  • 「賃貸管理からPM/AMへのステップアップ|オフィス・商業PMへの転身ルート」
  • 「賃貸不動産経営管理士の合格戦略|国家資格化後の難易度と学習法」

参考にした一次情報・データソース

  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
  • 国税庁「民間給与実態統計調査」
  • 大東建託 有価証券報告書(2025年4月時点)
  • 大東建託パートナーズ 求人情報(エン転職、doda 2026年2月時点)
  • 求人ボックス「不動産営業 平均年収」(2025年9月集計)
  • Indeed「賃貸営業の平均年収」
  • ライトハウス・OpenWork等の口コミ集計データ
  • 三好不動産 口コミ年収データ(28名回答ベース)
  • 各社採用ページ・求人情報

この記事は2026年5月時点の情報に基づいて執筆しています。年収相場は景気変動や個別企業の業績により変動します。具体的な企業の年収については、最新の有価証券報告書や採用情報をご確認ください。

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