「賃貸管理の仕事に興味があるけど、調べてみてもいまいち全体像がつかめない」
そう思って検索したら、求人サイトのザックリした業界紹介や、よくわからないアフィリエイト記事ばかり出てきて、結局なにもわからなかった——という人、けっこう多いんじゃないでしょうか。
正直、賃貸管理業界って外から見ると地味なんですよ。デベロッパーや外資ファンドみたいな華やかさがないし、SNSで発信している現役プレイヤーも少ない。だから情報が表に出てこない。
でも実は、業界規模は超巨大で、いま大きな変化が起きていて、未経験でも入れるルートが豊富という、転職市場としてはかなり面白い領域なんです。
この記事は、賃貸管理業界への転職を考えている人向けの「最初に読む1本」として書きました。業界の構造、4つの会社タイプ、職種、メリット・デメリット、法律で何が変わったか、転職前に知るべきことを一気にカバーします。読み終わるころには、自分が次に何を調べればいいかが明確になっているはずです。
それでは始めます。
賃貸管理ってそもそも何の仕事?
一言で言うと「大家さんの代わり」をする仕事
賃貸管理業界を一言で説明するなら、「大家さん(オーナー)の代わりに、賃貸物件を運営する仕事」です。
普通、アパートやマンションを所有しているオーナーは、自分で全部の管理をやろうとすると大変なんですよね。家賃の集金、契約更新、退去立ち会い、クレーム対応、修繕の手配、入居者募集……。本業を持っている人や、複数物件を持っている人だと、とても手が回らない。
そこで登場するのが賃貸管理会社です。オーナーから委託を受けて、これらの業務を代行するのが仕事です。
国土交通省の定義では、賃貸住宅管理業の「基幹業務」として以下の3つが挙げられています。
- 家賃・敷金などの受領事務
- 契約更新事務
- 契約終了事務
ただ、現場の実態としてはこれだけにとどまりません。実際にやっている業務はもっと幅広くて、ざっくり以下の4つに分類できます。
賃貸管理の4つの業務領域
1. 賃貸借契約の管理 — 新規契約、更新、解約、原状回復、敷金精算など。法律(借地借家法、民法、宅建業法など)が深く絡む領域です。
2. 入居者対応 — クレーム処理、トラブル対応、家賃滞納督促、騒音問題の仲裁など。ここが「賃貸管理は大変」と言われる主因。
3. 建物・設備管理 — 定期点検、清掃、修繕の手配、設備の更新計画など。建築や設備の知識が活きる領域です。
4. 収支・会計管理 — 家賃集金、オーナーへの送金、収支報告、確定申告サポートなど。地味ですが信頼関係の核になる業務。
これらを総合的に行うのが賃貸管理職、というわけです。
「賃貸仲介」との違い、ちゃんと説明できますか?
ここで多くの人が混乱するのが、「賃貸仲介」と「賃貸管理」の違いです。求人を見ても両方扱う会社が多いし、店舗の看板にも区別がない。
ざっくり言うと:
- 賃貸仲介 = 入居者とオーナー(または管理会社)の間に入って、契約を成立させる仕事。手数料ビジネス。エイブル、アパマンショップの店頭で接客しているのがこの人たち。
- 賃貸管理 = 契約成立後の運営を継続的に担当する仕事。月額の管理料をオーナーから受け取るストックビジネス。
仲介はその場限りの「点」のビジネスで、管理は長期的な「線」のビジネス、と考えるとイメージしやすいです。
実は、年収やキャリアの伸び方、求められるスキルもけっこう違います。仲介は数字至上主義(歩合給が大きい)で短期決戦型、管理はじっくり関係を作る長期戦型。だから「仲介から管理に転職して、ライフスタイルが大きく変わった」という人は実際多いです。
「分譲マンション管理」とも違います
もうひとつ混同されがちなのが、分譲マンション管理との違い。
- 分譲マンション管理(マンション管理) = 区分所有者(住んでいる人たち)の管理組合から委託を受けて、共用部の管理や組合運営をサポートする仕事。日本ハウズイング、東急コミュニティーなどが代表企業。
- 賃貸管理 = 賃貸物件のオーナー(個人投資家やデベロッパー)から委託を受けて、物件全体の運営を行う仕事。
両方とも「不動産管理」と呼ばれるけど、お客さんが全然違うんですよね。マンション管理のお客さんは「住人で構成される管理組合」、賃貸管理のお客さんは「オーナー個人または法人」。
法律も違います。マンション管理にはマンション管理適正化法、賃貸管理には賃貸住宅管理業法という、別々の法律が適用されます。
業界の市場規模はどれくらい?
「地味だ地味だ」と言いましたが、市場規模は本当に巨大です。
国土交通省のデータによると、令和4年度末(2023年3月末)時点で、賃貸住宅管理業者の登録数は8,943社、登録業者の管理戸数は合計で約790万戸。これは民間賃貸住宅のかなりの割合をカバーする数字です。
さらに、登録制度には「200戸以上の業者は登録義務」というラインがあるので、200戸未満の中小管理会社まで含めると、業界全体の事業者数はもっと多い。
働いている人の数も相当で、不動産業全体の就業者数(国の統計で約140万人)のうち、相当割合が賃貸管理関連業務に従事していると見ていい規模です。
しかも興味深いのが、この業界はトップ集中型ではないということ。例えば全国賃貸住宅新聞の2025年管理戸数ランキングには1,069社が回答していますが、上位10社の合計戸数を足しても、業界全体の管理戸数の半分にも届きません。つまり、地場の中堅・中小プレイヤーが層厚く存在しているということです。
これは転職市場の観点で見るとかなり重要なポイント。トップ集中型の業界(例えば総合商社やメガバンク)だと、転職先の選択肢が数社に絞られてしまうけど、賃貸管理業界は**「住んでいる地域に必ずまともな管理会社が複数ある」**という分散型構造です。地方に住んでいる人や、転居せずに転職したい人にとっては、これは大きなメリットです。
つまり、**「中小の地場プレイヤーから業界トップまで、選択肢の幅が広く、求人も継続的に出続けている」**業界、ということ。これが転職市場としての魅力につながっています。
賃貸管理にはサブリースと管理受託の2種類がある
業界を理解するうえでもうひとつ押さえておきたいのが、「サブリース」と「管理受託」の違いです。これは賃貸管理業者と契約するオーナーの立場から見た2つの契約形式で、転職する側にとっても業務内容に大きく影響します。
サブリース(マスターリース):管理会社がオーナーから物件を一括で借り上げて、それを入居者に転貸する形式。オーナーは「自分の物件を管理会社に貸す」格好になり、入居者の有無にかかわらず管理会社から賃料を受け取る(=空室リスクを管理会社が負う)。大東建託パートナーズや積水ハウス不動産など、ハウスメーカー系大手の主軸ビジネス。
管理受託:オーナーが入居者と直接賃貸借契約を結び、その運営事務だけを管理会社に委託する形式。空室リスクはオーナーが負う。独立系専業管理会社の主軸ビジネス。
この2つ、業務内容も社内文化もけっこう違います。サブリース系は「親会社が建てた物件を社内的に管理する」面が強いので、オーナー対応がややシンプル。一方、管理受託系は「個別オーナーに丁寧に向き合う」スタイルで、コミュニケーション負荷が高い代わりに関係が深くなる。
転職時には、応募先の会社がサブリース主体なのか、管理受託主体なのかを必ずチェックしてください。求められるスキルが違います。
賃貸管理会社は4タイプある|あなたに合うのはどれ?
ここが超重要なポイントです。賃貸管理に転職するなら、まず「どのタイプの会社を狙うか」を決めないと話が進みません。同じ「賃貸管理」と言っても、業態によって仕事内容、年収、社風、求められる人材像が別業界レベルで違うからです。
業界はざっくり以下の4タイプに分かれます。
タイプ1:ハウスメーカー系サブリース型
ビジネスモデル:親会社のハウスメーカーが建てたアパート・マンションを、グループ会社である管理会社が「一括借り上げ(マスターリース)」して、オーナーに賃料保証する形式。
代表企業:
- 大東建託グループ(大東建託パートナーズ) — 2025年3月末時点で管理戸数129万4,332戸。29年連続業界1位の絶対王者。
- 積水ハウスグループ(積水ハウス不動産) — 「シャーメゾン」ブランドで管理戸数70万戸超。入居率約98%という高水準を維持。
- 大和リビング(大和ハウスグループ) — 業界3位。2022年に大和リビングマネジメントを統合。
- 東建コーポレーション — ホームメイトブランドで全国展開。25万戸超。
- 積水化学(セキスイハイム不動産)、ミサワホーム不動産 など。
特徴:
- ビジネスが安定している(親会社が物件を供給し続けるため)
- 教育体制がしっかりしている(大手ならでは)
- マスターリースの割合が高いため、オーナー対応が比較的シンプル
- ただし、過去にサブリース問題で社会的批判を浴びた業態でもある
向いている人:大手の安定感が欲しい人、未経験スタート、体系的に学びたい人。
タイプ2:不動産仲介系・フランチャイズ型
ビジネスモデル:賃貸仲介を主軸にしながら、管理業務も両輪で展開。仲介で集めた客付け力を活かして、オーナーから管理を受託する。
代表企業:
- エイブル&パートナーズ(エイブル) — 仲介と管理を両輪で展開する大手。
- ハウスメイトグループ(ハウスメイトパートナーズ) — 2025年4月時点で管理戸数約25.7万戸、契約オーナー数2万人超。創業50年の独立系。
- アパマンショップネットワーク — フランチャイズ加盟店中心の全国展開。
- ミニミニ、ピタットハウス — 同様にFC展開で管理も手がける。
特徴:
- 仲介と管理を両方経験できる(キャリアの幅が広がる)
- 営業色が強い社風が多い
- 店舗単位での裁量が大きい場合も
- 数字へのプレッシャーは大手サブリース系より強め
向いている人:営業力を磨きたい人、現場感を重視する人、両方の経験を積みたい人。
タイプ3:独立系専業管理会社
ビジネスモデル:特定地域に密着し、地元のオーナーとの長期信頼関係を武器に管理戸数を伸ばす。建築や仲介に頼らず、純粋な管理ビジネスで勝負するタイプ。
代表企業:
- 三好不動産 — 福岡を中心とした九州エリアの最大手。
- スターツアメニティー(スターツコーポレーション系) — 2025年3月末で住宅管理戸数約12.5万戸。
- 長栄 — 京都・滋賀をメインエリアとする関西の有力企業。
- 穴吹ハウジングサービス — 中国・四国地方の地場大手。
- 明和不動産管理(MILIVE GROUP) — 熊本県の地場大手。
特徴:
- 地域に深く根ざした商売(オーナーとの関係が濃い)
- 規模は大手より小さいが、専門性は高いことが多い
- 経営層との距離が近く、裁量が大きい
- 給与水準は会社による差が大きい
向いている人:地元志向の人、長期的にスキルを磨きたい人、経営に近い場所で働きたい人。
タイプ4:新興・テック系
ビジネスモデル:DXやテクノロジーで賃貸管理業務を効率化、もしくは新しい体験価値を生み出すタイプ。比較的最近台頭してきた層。
代表企業:
- GA technologies — 「RENOSY」ブランドで不動産投資・管理をテック化。
- TERASS — エージェント型のモデルで業界変革を狙う。
- いえらぶGROUP — 賃貸管理ソフトと自社管理事業を展開。
- ITANDI(Speee系) — 内見・契約のオンライン化を推進する業務システム提供企業(ただしBtoBが主軸)。
- イタンジ、estie — 不動産DX領域のプレイヤー。
特徴:
- IT・データ活用への投資意欲が高い
- 若手中心、社風がスタートアップ的
- 給与水準は会社差が大きく、ストックオプション付きの場合も
- 業界経験よりIT・営業経験を重視する企業もある
向いている人:成長領域に挑戦したい人、ITスキルがある人、スタートアップ的な環境を好む人。
結局、どれを選べばいいか?
ざっくりした目安はこうです。
- 安定とブランドが欲しい → タイプ1(ハウスメーカー系)
- 営業力・両刀使いを目指す → タイプ2(仲介系)
- 地元密着で長く働きたい → タイプ3(独立系)
- 成長領域に賭けたい → タイプ4(新興・テック系)
このタイプ別の詳しい比較は、別記事で詳しく扱う予定なので、そちらも読んでみてください。
賃貸管理職の主な職種|配属先で人生が変わる
「賃貸管理職」と一括りに言っても、社内には実は複数の職種があります。配属先によって日々の業務が大きく違うので、ここを理解しておくとミスマッチを避けられます。
オーナー対応営業(賃貸管理営業)
仕事内容:オーナーとの定期的なコミュニケーション、契約更新交渉、修繕提案、収支報告、リプレイス防衛(他社への切り替え阻止)など。賃貸管理職の「花形」と言われる職種です。
1日の流れ(イメージ):朝はメールチェックと優先度確認、午前中はオーナー訪問、午後は物件巡回や業者打ち合わせ、夕方は報告書作成と翌日準備。月初は収支報告ラッシュ、月中は更新手続き、月末は原状回復と新規募集準備、というサイクル。
求められるスキル:オーナー(高齢の地主層が多い)とのコミュニケーション、数字管理力、法務知識、建築の基礎知識。
年収レンジ:30代で500-700万円、管理職クラスで800-1000万円が目安(業態と地域による)。
入居者対応(カスタマーサクセス系)
仕事内容:入居者からのクレーム対応、トラブル仲裁、家賃滞納の督促、解約手続き、原状回復の調整など。
「夜中の電話で病む」みたいな噂が立つのは主にこの職種ですが、実態は会社による差が大きい。最近は24時間コールセンターを外注している大手も多く、現場担当者の負担はかなり減っています。
向いている人:対人対応が得意で、感情のコントロールができる人。
リーシング(募集・客付け)担当
仕事内容:空室の募集、内見対応、申込受付、入居審査、契約締結。賃貸仲介と業務が重なる部分が大きい職種です。
仲介と違うのは、「自社管理物件の空室を埋める」という視点が中心になること。インセンティブ制度がある会社では、繁忙期の収入が伸びやすい。
バックオフィス(契約事務・経理)
仕事内容:契約書作成、家賃管理、収支処理、オーナーへの送金、税務サポートなど。営業職に比べて落ち着いた働き方ができる職種です。
向いている人:正確性を重視するタイプ、ライフワークバランス重視の人。
リプレイス営業(知る人ぞ知る高年収職)
仕事内容:他社が管理している物件のオーナーに対して、管理会社の切り替えを提案する「攻めの営業」。業界用語で「リプレ」と呼ばれます。
これ、業界の中でもかなり特殊な職種で、新規開拓のキレが求められる代わりにインセンティブが大きい。優秀な人だと年収1000万円超えも珍しくありません。
ただし精神的にハードな仕事なので、向き不向きが極端に分かれます。
設備・修繕担当、DX担当・業務改善職
近年、各社が力を入れているのが業務改善・DX系の職種。賃貸管理の業務は属人化しやすいので、システム導入や業務フローの再設計を担当する人材ニーズが伸びています。
IT系出身者が異業種から入りやすいルートでもあるので、エンジニア・ITコンサル経験者には選択肢として面白いです。
賃貸管理業界で働くメリット・デメリット|忖度なしで書きます
メディアによっては「不動産業界はキラキラしてる!」みたいに書きがちですが、ここでは正直に両面を書きます。
メリット
1. 景気変動に強く、長期キャリアを築きやすい
賃貸管理はストックビジネスです。一度契約したオーナーから毎月管理料が入ってくるので、不景気でも収益が安定しています。新築マンションが売れない時期でも、賃貸ニーズはなくならない。不動産業界の中で最も景気に強い領域と言えます。
2. 未経験から挑戦しやすい
業界全体が慢性的な人手不足なので、未経験者の採用に積極的な企業が多いです。特にサブリース系大手や仲介系大手は、毎年大量に未経験を採用しています。宅建を取っていれば、選考通過率がぐっと上がる。
3. 専門性が積み上がる
法律(借地借家法、民法、賃貸住宅管理業法)、建築、税務、保険、トラブル対応など、扱う領域が広いので、続けるほど専門性が高まります。50代以降も現役で活躍できる職種です。
4. 不動産投資家としての目線が育つ
オーナー対応をしていると、自然に不動産投資の収益構造、エリアの相場、物件選びのポイントが身についてきます。自分自身も将来大家業をやりたい人にとっては、これ以上ない学校です。
デメリット
1. クレーム対応の精神的負担
これは正直避けて通れない。入居者からの理不尽なクレーム、オーナーからのプレッシャー、両方を間に挟まれるのがこの仕事の宿命です。
ただし、最近はコールセンター外注やシステム化で改善が進んでいるので、昔ほど壊れる人は減っているという声もあります。
2. 給与の伸びに天井がある
ストックビジネスなので、爆発的に稼ぐのは難しい。仲介の歩合給で年収2000万、みたいな世界ではないです。安定の代わりに、ハイリターンは諦める業態。
ただしリプレイス営業や、PM/AMにキャリアアップした場合は、年収レンジが大きく上がります。
3. 休日・時間外の対応
緊急トラブル(水漏れ、設備故障、入居者間トラブル)は時間を選ばないので、当番制で休日・夜間対応がある会社が多いです。これは業態による差が大きい部分でもあります。
4. 業界のネガティブイメージ
サブリース問題、家賃滞納の追い込み、原状回復トラブルなど、社会的に批判される事案が多い業界です。「賃貸管理で働いてます」と言うと、ネガティブな反応をされることもある。
ただし、賃貸住宅管理業法の施行で業界の適正化が進んでいるのは事実。これからどんどんイメージは変わっていきます。
向いている人・向いていない人
向いている人:長期的に安定した仕事を求める人、人とのコミュニケーションが好きな人、法律や建築の知識を身につけたい人、将来不動産投資をやりたい人。
向いていない人:数字で大きく稼ぎたい人、クレーム対応が極端に苦手な人、毎日同じ業務サイクルが嫌な人(ただし職種で工夫の余地あり)。
賃貸住宅管理業法の施行で、業界はこう変わった
転職を考えるうえで知っておきたいのが、**2021年6月15日に全面施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(通称:賃貸住宅管理業法)**です。
これは賃貸管理業界にとって地殻変動レベルの変化でした。
何が変わったのか
1. 登録制の導入
管理戸数200戸以上の業者は、国土交通大臣への登録が義務化されました。それまで野放しに近かった賃貸管理業が、初めて法律の監督下に置かれたわけです。
2. 業務管理者の配置義務
各営業所に1人以上、「業務管理者」と呼ばれる有資格者を置くことが必須に。この業務管理者になるには、賃貸不動産経営管理士の国家資格 or 宅建士+指定講習修了、のいずれかが必要です。これが賃貸不動産経営管理士の国家資格化につながりました。
3. 重要事項説明の義務化
オーナーとの管理契約締結前に、業務管理者が重要事項を説明することが義務に。宅建業法と同じ仕組みが、賃貸管理にも持ち込まれました。
4. サブリース新法(特定賃貸借契約)
サブリース業者がオーナーを勧誘する際、リスク説明や誇大広告の禁止が法定化。レオパレス21や、かぼちゃの馬車事件(スマートデイズ)を踏まえた規制強化です。
転職希望者にとっての意味
この法律の施行は、業界の社会的地位の向上につながっています。
「賃貸管理 = 何でも屋」だった時代から、「業務管理者という有資格者を置く専門業」に進化したわけです。実際、国交省は2023年に全国97社に対する初の立入検査を実施し、59社に是正指導を行いました。
つまり業界全体が「適正化フェーズ」に入っているということ。この潮流に乗って、賃貸不動産経営管理士の取得者も急増していて、2024年8月時点の有資格者数は約8.5万人、2024年度試験で1万人超が新たに登録される見込みです。
転職市場としては、有資格者の価値が上がっている真っ最中。資格を取るタイミングとしては今がかなり良いです。
転職を考える前に知っておくべき3つのこと
最後に、賃貸管理業界への転職を本気で考えている人に向けて、絶対に押さえておきたい3つのポイントをまとめます。
1. 業態選びでキャリアが決まる
繰り返しになりますが、これが一番大事。「どの業態で何年か経験を積むか」によって、その後のキャリアパスがまるで違うんです。
例えば、サブリース系で10年経験を積んだ人が、独立系の地場会社に転職するのは比較的スムーズ。でも逆に、独立系で経験を積んだ人が、ハウスメーカー系大手に行くのはやや難しい(社風や業務スタイルの違いが大きいため)。
最初の入り口を慎重に選んでください。
2. 取得すべき資格の優先順位
賃貸管理職に役立つ資格はいろいろありますが、優先順位はこの順です。
- 宅地建物取引士(宅建) — まずこれ。書類選考の通過率が大きく変わります。
- 賃貸不動産経営管理士 — 国家資格になり、業務管理者要件として価値が上昇中。
- 管理業務主任者・マンション管理士 — 賃貸専業ならいずれは。
- FP、簿記 — オーナー対応で活きる。
宅建を持っていない未経験者は、まず宅建を取ってから転職活動を始めるのがおすすめ。これだけで応募できる企業の数が3倍くらい変わります。
3. 年収レンジの目安
ざっくりした目安はこうです(業態・地域・職種で大きく変動します)。
- 未経験スタート(20代):300-400万円
- 中堅(30代、4-7年目):500-700万円
- 管理職(40代、支店長クラス):800-1000万円
- 本部・経営層(50代以上):1000-1500万円
リプレイス営業で抜きん出る人や、PM/AMにキャリアアップした人はこれより上に行きます。逆に、地場の小規模管理会社だとこのレンジを下回ることも。
詳しい年収比較は、別記事で業態別・職種別・経験年数別に整理しているので、そちらを参照してください。
まとめ|地味だけど、転職市場としてはアツい
ここまで読んでくれた人なら、賃貸管理業界の輪郭がかなり見えたんじゃないでしょうか。
この記事のポイントを整理すると:
- 賃貸管理は**「大家さんの代わり」をする長期型の仕事**で、市場規模は約790万戸+登録業者9000社の巨大領域
- 会社は**4タイプ(サブリース系・仲介系・独立系・テック系)**に分かれ、それぞれ社風も年収も違う
- 主な職種はオーナー対応営業、入居者対応、リーシング、バックオフィス、リプレイス営業、DX担当など
- メリットは安定・未経験OK・専門性蓄積・投資家視点、デメリットはクレーム負担・年収天井・休日対応
- 2021年の賃貸住宅管理業法施行で業界は適正化フェーズに突入、有資格者の価値が上昇中
- 転職前に、業態選び・資格取得(宅建+賃管士)・年収相場の理解は必須
最後にひとつ。賃貸管理は派手じゃないし、SNSで盛り上がるような業界でもない。でも、長く働ける、専門性が積み上がる、生活が安定する、そして将来は不動産投資にも活かせる。
「地味だが、人生戦略としては合理的」——これが、賃貸管理業界の本質だと思います。
派手なキャリアより、堅実に積み上げるキャリアを描きたい人にとっては、これほど相性のいい業界はないかもしれません。
次に読むべき関連記事
このサイトでは、賃貸管理業界の各論を深掘りした記事を多数公開しています。あなたの状況に合わせて、ぜひこちらもチェックしてください。
- 「賃貸管理会社4タイプ完全比較|サブリース系・仲介系・独立系・テック系」
- 「賃貸管理の年収相場|業態別・職種別・経験年数別に徹底解説」
- 「賃貸管理営業(オーナー対応)の1日|アポ・契約更新・クレーム対応のリアル」
- 「未経験から賃貸管理へ転職する完全ガイド|必要な資格・狙い目企業・面接対策」
- 「賃貸不動産経営管理士の合格戦略|国家資格化後の難易度と学習法」
- 「賃貸管理業界の面接で聞かれる質問15選|想定回答と評価ポイント」
参考にした一次情報・データソース
- 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト」
- 国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度」公開データ
- 公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)資料
- 全国賃貸住宅新聞「2024年・2025年管理戸数ランキング」(回答企業1069社)
- 一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会 試験統計データ
- 大東建託パートナーズ プレスリリース(2025年8月)
- 各社IR資料・有価証券報告書
この記事は2026年5月時点の情報に基づいて執筆しています。最新の法改正や業界動向については、各公式情報も併せてご確認ください。
